古材に宿る精神性と、東西アンティークの調和
昭和の民家に、江戸期の古材を継いで改修した住まい。古いものを捨てるのではなく、直して、命を引き継いでゆく。地域の文化も受け継いだ家の中で、東西のアンティークがにぎやかに同居する。
京都と奈良を結ぶ山背古道。山際に点在する古い町。『万葉集』にも詠まれた美しい自然が残るこの町にデイビス邸は建つ。アメリカ出身のジョナサンさんと、奥さんの和子さんが暮らすこの家は、築30年ほどの日本家屋を改修したものだ。
大学で教鞭を執るジョナサンさんは、古民家に憧れて家探しをしていてこの家に出会った。とはいえ、もとの家はいわゆる普通の住宅。当初はこの土地に古民家を移築しようと、古民家の再生に詳しい建築家・木下龍一さんに相談していたが、予想以上に資金がかかることがわかり、木下さんのすすめで古材を使って家を改修することにしたのである。「壊して廃棄するのではなく、使えるものを生かすという考え方がいい」とジョナサンさん。生まれ変わった家には、もとの家を解体した際に出た部材が生かされている。
所在地:京都府
家族構成:夫婦+子ども2人
敷地面積:469.42㎡
延床面積:175.79㎡(1階 126.63㎡ 2階 49.16㎡)
竣工:2001年4月(工期2000年8月~2001年4月)
設計:一級建築士事務所 アトリエRYO 木下龍一(担当:近仁裕、工藤麻歩)
施工:渚建設(現場監督:鈴木道広)>
構造形式:木造2階建て
主な外部仕上げ
屋根=淡路産粘土いぶし瓦桟葺き
軒天井=既存ラスモルタル下地 マジックコート吹き付け
外壁=既存ラスモルタル下地補修の上マジックコートスタッコ押え
主な内部仕上げ
天井=プラスターボード張りパテシゴキの上AP塗装
壁=土ラスボード下地・色漆喰コテ押え
床=コンパネ下地オークフローリング張り(厚12㎜+18㎜)