チルチンびと「古民家」の会 セミナー報告

「安全性を高める補強設計の要点」〜力の流れを踏まえ構造計画から考える〜

 

2020年2月12日、チルチンびと「古民家」の会では、構造建築家の山辺豊彦先生によるセミナーが風土社にて行われました。参加者は、チルチンびと「古民家」の会メンバーだけでなく、「地域主義工務店」の会の方々にも出席していただきました。
※山辺豊彦先生は、建築家の丹呉明恭さんと30年にわたり「大工塾」を主催し、継手や仕口の破壊試験に取り組み、耐力を実証して来ました。

今回のテーマは『安全性を高める補強設計の要点 〜力の流れを踏まえ構造計画から考える〜』です。
先生曰く、改修のポイントは、現状の建物の特徴を見抜くことだそうです。
そのためには、力(荷重)の流れを理解して、地震力などの負荷がかかった時にどう損傷するかを想像すること。それを防ぐための柱と壁、壁と壁、壁と床の連続性が重要で……。

当日は、伝統住宅で多く用いられる「貫」や「板壁」、「土壁」などの実験データをもとに、古民家などの古い建築の構造特性を解説していただき、「継手」の引張強度などについて、データで詳しく解説していただきました。
他にも、床組や小屋組(和小屋と洋小屋)の構造的な役割や、補強計画での注意点、耐震診断で現地調査をする際のポイントについても教えていただきました。
個人的には、実際の改修事例が2件も見られたのが興味深かったです。間取り変更や「石場建」の改修方法など、川崎市立日本民家園の「鈴木家住宅(県指定重要文化財)」の構造改修にまつわる写真や資料も見せていただき大変勉強になりました。
セミナー後半では、和小屋と洋小屋の共通点についての質問や、香川県に多い大きな陸梁に関する質問、先生の相談料などについての質問があり、より理解が深まったようでした。

セミナーの後、風土社で簡単な懇親会を開きました。
山辺豊彦先生にも参加していただき、参加者との親睦を深めました。

 

木造住宅の構造を検討する上で、地盤の強度や建築年代は重要です。例えば、2000年6月1日以前に建てられた木造建築は、旧耐震基準(震度5強より大きな地震に対する基準がない)で建てられている可能性が高いので、耐震補強が必要です。これらは2016年の熊本地震でも被害が大きかったことが報告されています。この他にも、必要壁量の確認、擁壁の有無などのチェック方法を講義されました。

詳細は、現在発売中の“チルチンびと別冊57号”『民家の再生と創造①−古材・古民家の美-』の特集「古民家再生ハンドブック」でご確認ください!

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