26リビングから外を見る。垂木現しの深い軒は頼もしさを感じる。庭づくりは春になったら始めたいとのこと。 京都と奈良を結ぶ山やましろこどう背古道。山際に点在する古い町。『万葉集』にも詠まれた美しい自然が残るこの町にデイビス邸は建つ。アメリカ出身のジョナサンさんと、奥さんの和子さんが暮らすこの家は、築30年ほどの日本家屋を改修したものだ。 大学で教鞭を執るジョナサンさんは、古民家に憧れて家探しをしていてこの家に出会った。とはいえ、もとの家はいわゆる普通の住宅。当初はこの土地に古民家を移築しようと、古民家の再生に詳しい建築家・木下龍一さんに相談していたが、予想以上に資金がかかることがわかり、木下さんのすすめで古材を使って家を改修することにしたのである。「壊して廃棄するのではなく、使えるものを生かすという考え方がいい」とジョナサンさん。生まれ変わった家には、もとの家を解体した際に出た部材が生かされている。 家を囲む土塀は、その家の壁土と瓦などをジョナサンさん自身が積み上げた。同じく手づくりのアプローチを進み、玄関へ。デイビス邸では、玄関廊下を境に、二つの異なる雰囲気を持った空間が広がる。 廊下左手の接客スペースであるササロン。改修前の柱は壁の中に塗り込められ、現しの部分はすべて古材。柱は背の高いジョナサンさんに合わせて継ぎ足している。サロンから庭を見る。ウッドデッキを介し、庭とつながる。2点/書斎からサロンを見る。書斎には家族写真や古道具などが置かれている。
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