雑誌「チルチンびと」80号掲載「京都府/西山邸」
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30古き良き歴史を受け継ぎながら、職住一体の町家暮らし繁華街の喧噪から離れた、京都市北部の静かなまち。「織屋建て」と呼ばれる町家では、かつて職住一体の暮らしが営まれていた。そんな往事の趣そのままに、子育てをしながら和花の店「みたて」を営む、西山隼人さん夫妻の町家暮らしを訪ねました。 京都市北部・紫野。鴨川にほど近い大通りを入った、喧噪からはずれた住宅街。時計の針を巻き戻したかのような趣を纏い、佇む花の店がある。年季の入った引き戸を引くと、目に飛び込んでくるのは爛漫と花咲き誇る野山の情景。 古い瓦や五徳など、花器に見立てたさまざまな古物と、和を中心とする季節の花々が所狭しと座敷を彩る。一方、座敷脇の通り庭の奥からは、香ばしい匂いが。枝にたわわに咲く古い町家を花器に見立てて住宅街にところどころ、こうした長屋が残る一角。若い世代がレストランや書店など、店舗として活用している。五徳に須恵器を取り合わせ、可憐な台湾梅花唐松をあしらって。特集古材を見ると、ほっとする1京都府京都市・西山邸  写真・西川公朗

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