41 その頃に出会ったのがこの家の改築を手がけた木き堂どう久美子さん・勝弘さん夫妻だ。80年代に東京でアメリカの古着を扱う店を始めた夫妻。そのうちに服だけでなく、ユーズドの服や家具を当たり前のように使う、気取らない自由さをまとったアメリカ人の生活様式までも提案したいと考え始め、今ではアメリカから買い付ける古い家具や建材を使った家づくりが本業に。雅子さんも「〝アンティーク〟とか〝ヴィンテージ〟という価値の高そうなものではなく、〝ジャンク〟と呼ばれる、経年変化や傷も受け止める、大らかな質感に魅かれました」という。そして千葉で木堂夫妻が手がけていた海辺のビーチハウスを見て、新築でもイメージ通りの家がつくれると確信。14年間の付き合いで、自分の好みを熟知してくれているという信頼もあった。 住みたい家は、昔テレビで観ていた『大草原の小さな家』に出てきたような手づくりの小屋。そこで木堂さん夫妻が提案したのが「ケープコッドスタイル」という17世紀に北ア玄関は区切っておらず、段差もない。ざっくりとした幅広の床板は新材にない味わい。家具やコート掛けの金物に至るまで歳月を重ねたものばかりだ。古いものと新しいものを縫い合わせて
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