44メリカにやって来たイギリス人が建てた家。まさに板張りの壁に切妻屋根の素朴な小屋風の家だった。 当初、仕上げを変えるだけの改修に留めようと、広い庭に建つ古い平屋を探したが思いのほか傷んでおり、その建物のシルエットを生かしながら古材を使って改築することに。 アメリカの住宅の写真集などを元にイメージを共有し、必要な窓枠や建具、床材から家具やドアノブなどの小物まで、すべて木堂さん夫妻がアメリカで探してきた。さらに夫妻は工事中ずっと泊まり込みで現場で指示出し。工藤さん夫妻も、できることは自分でやろうと、足繁くペンキ塗りなどに通った。「誰かが使っていた建材や家具を集めた、パッチワークのような家ですね」と感慨深げに話す雅子さん。 家を建ててからは、天気がよければ庭いじりやラナイでお茶を、雨の日には部屋で縫い物をという晴耕雨読の暮らし。床や壁に傷をつけてもそれが味わいになる、器の大きさを感じるような住まい。「この家がこれから自分たちらしい色に染まっていけば、と思っています」と工藤夫妻。 時を経て、さらに工藤家の味わいが縫い合わせられていくことだろう。雅子さんの書斎。工場の作業台をデスクに。天板はガルバリウム鋼板。旗や奥の壁掛けは雅子さんが縫ったもの。立体的なドアの枠が、額縁のように寝室を切り取る。屋根の形状が現しの天井は、空間のアクセントに。右上:風雨に晒されてきたであろう質感を残す玄関ドア。左上:床材はペンキの塗られていないベイスギを選んだ。右下:コンパクトなダイニングに合う、すっきりとしたシルエットの椅子。 左下:このドアは、塗装を剥がしてみたら好みの風合いが出たという。
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