22を借りた。「幼少期に、日本の伝統的な建物や風景に日々触れていることが、すごく重要だと思います」。建物も環境も含め、春夏秋冬の心地よさ、また厳しさを感じながら暮らすことが、日本人としての繊細な美意識や感性をつくりあげるのでは、と早栄子さんは話す。「自然の中で育つ子どもたちは感度のいいセンサーみたい。雨のにおいもかぎわける」。 長女が通っていた保育園の閉鎖も立ち上げの理由の一つ。「若い人が都会へ出る一方で、田舎に来る方法がない。素晴らしい自然環境に教育の強みを足せば、もっとこちらに来る人も増えるはず」。そこで、近所に住む同年代の人たちと協力し、智頭町が主宰する「百人委員会」という制度を利用し幼稚園の立ち上げに至った。この制度は、地域振興につながる町民のアイデアに町が予算をつけてくれるというもの。 今やまるたんぼうに通わせたいと移住してくる家族が後を絶たない。今後は移住と入園を希望する家族のためのシェアハウスや、助産院の創設なども視野に入れているという早栄子さん。この集落に若い力が集まって来ている。兄妹3人の勉強部屋は、本や絵で賑やかに。右:明るく広々とした風呂場は古民家に仕上げを合わせて新築した。薪でもボイラーでも焚ける。 中:囲炉裏の上に見える梁。冬場は天井に厚手の発泡スチロールを置いて寒さを軽減させている。 左:縁側で遊ぶ子どもたち。
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